2022年に確定拠出年金制度がいくつか改正されることが決まりました。
確定拠出年金制度は「DC(”Defined Contribution plan”の略)」とも呼ばれ、
加入者が掛け金を納め(これを「拠出」といいます)、その掛け金額と、加入者
自身が指示した運用による収益の合計によって将来の給付額が決まる年金制度です。
より豊かな老後の生活の支えとなる、公的年金に上乗せした給付を受けるために
任意で加入する「私的年金」の1つに分類されます。
確定拠出年金には、「企業型」と、「個人型〔iDeCo(イデコ)〕」があります。
確定拠出年金制度の概要等については、過去説明していますので、まだご覧に
なっていない人はまずはこちらからご覧ください。
【みんなの味方】確定拠出年金をうまく活用して老後に備えよう
今般の法改正の背景としては、今後の日本はさらに人口減少や少子高齢化が進んで
いき、公的年金だけでは支えきれなくなっており、自分自身で準備しましょう。
そのために対象者を拡大し、より活用しやすいようにします。
こんな感じでイメージしてもらえれば問題ありません。
その他にも年金問題として、健康保険の加入要件の見直し等、社会保険料の確保
のために政府はあの手この手を打ち出していますので、今後の動向にも注意が
必要です。
それではさっそく法改正の内容についてみていきましょう。
企業型DCの加入可能年齢が70歳未満まで拡大
現在の企業型DCの加入可能年齢は原則60歳未満までで、特別な規定により延長
できる場合も65歳未満までとなっていますが、2022年5月からは厚生年金被保険者
であれば70歳未満まで加入できるようになります。これにより、65歳以上になっても
まだまだ働きたいという人は、70歳になるまで企業型DCの拠出を継続して年金受給額
を増やすことができます。ただし企業によって加入できる年齢は異なります。
また、現行法では60歳以上になっても企業型DCに継続して加入するための条件
として、60歳となる前から同一の事業所で続けて雇用されている必要がありますが、
この制限についても改正により撤廃されます。したがって、60歳になってそれまで
勤めていた会社から他のグループ会社に転勤することになった人なども企業型DCに
加入できることになります。
iDeCo(個人型)の加入可能年齢が65歳未満までに拡大
iDeCoに関しては、現在は加入可能年齢が60歳未満までとなっていますが、企業型DC
と同じく2022年5月からはサラリーマンや公務員などが該当する第2号被保険者
であれば65歳まで加入することができるようになります。
第2号被保険者に扶養されている配偶者が該当する第3号被保険者は、これまで通り
60歳未満までが加入可能となりますが、国民年金に任意加入している人であれば
65歳までiDeCoに加入することができるようになります。
受給開始時期の上限が75歳まで延長(2022年4月~)
企業型DCとiDeCoの加入可能年齢が拡大されることに伴い、年金の受給を開始する
年齢の上限も75歳まで延長され、60歳から75歳までの間で自由に選択できるように
なります。これは加入可能年齢の延長に先駆けて、2022年4月に施行されます。
企業型DC加入者のiDeCoへの加入条件の緩和(2022年10月~)
現行法では、企業型DCに加入している人がiDeCoへの加入が認められるのは、労使の
合意があり、かつ事業主掛け金の上限を引き下げた場合に限定されています。
例えば、他の確定給付企業年金を実施しておらず、企業型DCの事業主掛け金が上限
いっぱいの55,000円の企業であれば、iDeCoの掛け金上限である20,000円分の事業主
掛け金を引き下げて35,000円にしなければ、その企業型DCの加入者全員がiDeCoに
加入者することができませんでした。
2022年10月からは、この2つの条件を満たさずとも企業型DCの加入者がiDeCoに加入
できるようになります。この条件の緩和により、これまで加入できなかった多くの人
が両方の確定拠出年金に加入できるようになることが期待されます。
上記の条件緩和で1つ注意したいのは、事業主掛け金の上限を引き下げなくてよくなる
からといって、企業型DCとiDeCoのどちらも上限いっぱいまで拠出できる訳ではない
ということです。具体的には、たとえば確定給付企業年金を実施していない場合では、
事業主掛け金は最大で55,000円まで、iDeCoの掛け金は最大で20,000円までとなり
ますが、2つの掛け金の合計が55,000円を超えないように調整しなければなりません。
また改正後であっても、加入している企業型DCで加入者本人が掛け金を上乗せして
拠出する「マッチング拠出」を利用している加入者などは、iDeCoに併せて加入する
ことができません。
以上が2022年の法改正の内容となります。
公的年金だけでは足りない世の中になっており、私的年金等を活用していかに
老後資金を形成していくのかがより重要となってくると思います。
老後資金問題を解決するための一つの手段として有効に活用しましょう。
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